ミッドセンチュリーとは?デザインや部屋のインテリアのコツ・家具の魅力まで紹介
記事の目次
- 1ミッドセンチュリーデザインはどんな部屋?
- 2ミッドセンチュリーとは?
- 2.1発祥の地は第二次世界大戦後のアメリカ
- 2.2軍事産業によって生み出された新しい技術を活用
- 2.3戦後まもなく家具の需要が高まり人気に
- 3ミッドセンチュリーデザインの特徴
- 3.1シンプルでモダンなデザイン
- 3.2ビビットカラーが使用されている
- 3.3ミッドセンチュリーと北欧デザインとの違い
- 4ミッドセンチュリーを代表するメーカーとデザイナー
- 4.1「ハーマンミラー社」
- 4.2代表するデザイナー
- 4.3「カリモク60」
- 5ミッドセンチュリーの代表的な家具アイテム
- 5.1ローテーブル
- 5.2ソファ
- 5.3チェア
- 5.4サイドテーブル
- 5.5カーテン
- 5.6壁の装飾
- 6ミッドセンチュリー風の部屋にリノベーションするポイント
- 6.1①デザインのテイストや年代を統一する
- 6.2②配色は色鮮やかにポイントとなるカラーを決める
- 6.3③家具や小物にレトロフューチャーの要素を取り入れる
- 7ミッドセンチュリーインテリアの実例
- 7.1個性的な形のソファ
- 7.2モダンなデザインの壁掛け時計
- 7.3イームズチェアーと照明の融合
- 8ミッドセンチュリーを意識しておしゃれな空間を作ろう!
ミッドセンチュリーデザインはどんな部屋?
ミッドセンチュリーは「1世紀の真ん中」という意味で、1950年台を中心にデザインされたインテリアのことを指します。ミッドセンチュリー家具を取り入れたインテリアにはどのような特徴があるのでしょうか?今回は、ミッドセンチュリーの魅力やインテリアの実例などをご紹介します。
自分だけの味を出しながらお部屋をおしゃれにリノベーションしたいとお考えの方は、ぜひ参考になさってください。
ミッドセンチュリーとは?
ミッドセンチュリー家具を使ったインテリアをご紹介する前に、ミッドセンチュリーが誕生するまでの歴史を見てみましょう。ミッドセンチュリーが誕生した背景を知ることで、より一層デザインの良さを実感するはずです。
発祥の地は第二次世界大戦後のアメリカ
ミッドセンチュリーが誕生したのは、第二次世界大戦後のアメリカです。戦勝国であるアメリカは自国を戦場としなかったため産業の復帰が早く、当時の世界経済の半分を保有する強豪国となります。
軍事産業によって生み出された新しい技術を活用
大戦中の技術革新も、ミッドセンチュリーが誕生するきっかけのひとつです。第二次世界大戦によってアメリカは新しい技術を生み出し、コスト削減・大量生産ができるようになりました。
新しい技術とは、プライウッド(成型積層合板)・FRP(ガラス繊維強化プラスチック)などの加工技術です。これらの素材が開発されたことで、曲線を用いた家具が製造できるようになります。
プライウッド(成型積層合板)
材木を薄くスライスしてできた単板を積み重ねて接着した合板のこと。
積み重ねる際は1枚ずつ繊維方向に直交させながら接着していきます。ゆがみや反りが出にくく、一枚板に比べると加工性が高め。低コストなため、量産家具などに多く使われています。
FRP(ガラス繊維強化プラスチック)
「FRP」とは、Fiber Reinforced Plasticsの頭文字をとったもので、繊維強化プラスチックを意味します。エポキシ樹脂やフェノール樹脂などに、ガラス繊維や炭素繊維などの繊維を複合することで強度を高めた複合材料です。軽量でありながら耐久性に優れているという特徴があります。
戦後まもなく家具の需要が高まり人気に
上記の要素に加え、戦後まもなくして起こった住宅ブームもミッドセンチュリーの誕生に大きく関係しています。第二次世界大戦を終えた後、帰還したアメリカ軍兵士の多くが家庭持ちだったため、アメリカではこれまでにないほどの住宅ブームが巻き起こりました。
それに伴い家具の需要も増加。人々はデザイン性の高い家具を求めるようになります。これまでの家具は直線的なものが多く、また伝統的な方法で手間をかけて製造していました。
そこにデザイン性が高く大量生産が可能なミッドセンチュリー家具が登場し、アメリカ国内で広く受け入れられていったのです。
ミッドセンチュリーデザインの特徴
ミッドセンチュリーデザインには、ほかの家具とは一味違った特徴があり、お部屋に1点取り入れるだけでも印象がガラリと変わります。ここではミッドセンチュリー家具の特徴について解説します。
シンプルでモダンなデザイン
ミッドセンチュリーは曲線を多用したデザインが特徴的です。そのうえ余計な装飾がなくシンプルなため、体にフィットしやすい点も魅力のひとつでしょう。プラスチック素材も多く取り入れられていますが、木材・金属・ガラスなど、これまでに利用してきた素材を使ったデザインも多く生み出されています。
丸みのあるデザイン
前述したように、ミッドセンチュリーには曲線的なデザインが多いです。上記の写真は、ミッドセンチュリーインテリアの代表的なデザイナーである「チャールズ&レイ・イームズ氏」がデザインした「ハーマンミラー」のアームチェアです。
写真をみてもわかるように、直線よりも曲線が多く全体的に丸みを感じます。これまで直線的な家具が多かった時代に登場したミッドセンチュリーは、人々にたくさんの驚きと感動を与えました。
ビビットカラーが使用されている
ビビッドカラーを使用した商品が多い点も、ミッドセンチュリーの特徴のひとつです。
色は敏感に時代を反映すると言われています。つらく暗い戦争を終えたことをきっかけに、人々は無意識に明るく開放的なカラーを求めるようになったのかもしれません。また、ミッドセンチュリーの華やかでポップなデザインが人気になった理由のひとつに、当時ポップアートが流行っていたことも関係していると考えられています。
ミッドセンチュリーと北欧デザインとの違い
ミッドセンチュリーと混同されがちなものに「北欧デザイン」があります。どちらもシンプルで曲線の多いデザインという点は一緒です。
しかし、ミッドセンチュリーはポップで華やかなデザインが多く、さまざまなシーンにおいて「レトロフューチャー」「宇宙的」といった言葉で再現されます。一方、北欧デザインは数色のみでシンプルにデザインされる傾向にあり「モダン」や「シンプル」などと表現されることが多いです。
とはいえ、ミッドセンチュリーのなかには「ミッドセンチュリーモダン」という北欧インテリアをベースに作られたデザインも存在します。ミッドセンチュリーが誕生した背景などを考えると、双方のスタイルを同義と考えるのは適当ではありませんが、一概にまったく異なるものとはいえないようです。
ミッドセンチュリーを代表するメーカーとデザイナー
続いて、ミッドセンチュリーを代表するメーカーとデザイナーをご紹介します。お部屋をリノベーションしてミッドセンチュリースタイルを取り入れたいとお考えの方は、ぜひ参考になさってください。下記でご紹介するデザイナーの家具を検索してみると、きっとお気に入りの一点が見つかるはずです。
「ハーマンミラー社」
ミッドセンチュリーを代表するメーカーといえばHermanmiller(ハーマンミラー社)が有名です。100年以上の歴史を持つ企業であり、今もなお最先端の家具メーカーとして輝き続けています。
ハーマンミラーの歴史は、ミシガン州西部のビジネスパーソンだったハーマンミラーと娘婿の D.J.デプリーが、1923年にミシガン州の「スター・ファニチャー・カンパニー」を買い取ったことから始まります。
「ハーマンミラー・ファニチャー・カンパニー」へと改名した後、家庭用家具の製造からモダンなオフィス家具メーカーへと事業内容を切り替えました。1945年にはジョージ・ネルソンをディレクターとして迎え入れ、その後数々の優秀なデザイナーとコラボレーションをおこないます。このコラボレーションが話題になり、世界的にその名が知られるようになりました。
代表するデザイナー
ミッドセンチュリーを代表するデザイナーには「チャールズ&レイ・イームズ夫妻」やチャールズの友人「エーロ・サーリネン」など、たくさんの人物がいます。ここでは、それぞれの人物についてご紹介します。
「チャールズ&レイ イームズ夫妻」
偉大なるデザイナー夫婦であるチャールズ&レイ・イームズ。
1950年代に多くの家具をデザインしており、中でも「サイドシェルチェア」や「ファイバーグラスサイドシェルチェア」は現代でも高い人気を誇っています。
また二人の活躍は家具のデザインだけにとどまらず、建築や映画製作、展示デザインなどを行い、数々の作品を世に送り出してきました。家具屋さんや小洒落たカフェなどで、チャールズ&レイ・イームズ夫妻がデザインした家具を見たことがある人は多いはずです。
「アレキサンダー・ジラート」
アレキサンダー・ジラードは、イームズの推薦により1952年にハーマンミラー社のデザインディレクターに就任した人物です。以前はデトロイトにてインテリアデザイナーとして活躍していました。
レストランや住宅、オフィス環境から航空会社のトータルデザインまで幅広く手掛けており、数々の名作テキスタイルを世に残しています。ジラードの作品は遊び心や楽しさが表現されているものが多く、暮らしに小さな楽しさや明るさを与えてくれるものばかりです。
「ジョージ・ネルソン」
ハーマンミラー社のデザインディレクターを務めたのがジョージ・ネルソンです。
「プラットフォームベンチ」「ボールクロック」「マシュマロソファ」など数多くの名作を生み出しています。
また、当時無名だったイームズ夫妻の才能を見出し、同社デザイナーに推薦した人物としても知られています。ほかにもイサム・ノグチ、エーロ・サーリネンらを招き、ハーマンミラー社を世界的に有名な家具メーカーへと成長させた人物です。アメリカのデザイン界において最も重要な人物の1人と言えるでしょう。
「カリモク60」
カリモク60(カリモクロクマル)とは、国内大手の老舗家具メーカー「カリモク家具株式会社」のブランドです。”ロングライフデザイン”をコンセプトに、2002年に立ち上げられました。
「60」と名がつくように、カリモク60の家具は1960年代に誕生しています。ミッドセンチュリー期である1960年代は、マーケティングという概念が今のように浸透していませんでした。
そのため、消費者のニーズよりも「世界に通用するモノを生み出したい」という職人たちの情熱がそのまま形となって世に生み出されていたのです。しかしこれらの家具は時代の流れや経済状況などによる影響から、その多くが廃盤に。
カリモクの代表商品であるKチェア(上記の写真参照)も廃盤の危機にありましたが、2002年に「カリモク60」としてブランドイメージを刷新することにしたのです。カリモク60のデザインやサイズは、1960年代当時のままラインナップされており、老舗家具メーカー「カリモク」ならではの高いクオリティーも保たれています。
当時のデザインを活かしながら、1度も廃盤になることなく製造され続けているKチェアなどは、まさに生きるミッドセンチュリーと言えるのではないでしょうか。
ミッドセンチュリーの代表的な家具アイテム
ミッドセンチュリー家具を取り入れ、お部屋をおしゃれにリノベーションするには、ミッドセンチュリーの代表的な家具を知っておくことが大切です。ここでは、リビングに取り入れやすいテーブルやソファなどをご紹介します。
ローテーブル
ミッドセンチュリーインテリアに欠かせないのがローテーブルです。木目調のデザインが人気ですが、ガラス天板の商品もおすすめです。ソファの素材や色味と合わせてローテーブルを合わせれば、統一感が出てよりおしゃれな空間になります。取り扱い数の多いアイテムなので、自分好みの一点を見つけやすいでしょう。
ソファ
ソファは部屋の印象を大きく左右します。
ミッドセンチュリーを意識するのであれば、丸みより角を感じるようなデザインで四脚タイプのソファを選びましょう。グレーやブラックなどの定番色も良いですが、オレンジやイエローなどはっきりとしたカラーを差し色として取り入れるのもおすすめです。
チェア
スペースに余裕があれば、脚のついたチェアを取り入れてみてください。おすすめはイームズ夫妻が手掛けたシェルチェアです。ホワイトやブラックなどのシックな色から赤や青などの原色までたくさんのカラーが揃っており、お部屋の雰囲気に合わせやすいのが特徴です。
在宅ワークが多い方はノースチェアもおすすめです。レトロでおしゃれなデザインはもちろん、身体をそっと包みこんでくれるカーブが心地良く長時間のデスクワークにもぴったりです。
サイドテーブル
ミッドセンチュリーインテリアでは、サイドテーブルのデザインも重要です。現在はソファにすっぽりと収まるようなコの字型のサイドテーブルが人気ですが、ミッドセンチュリー期は脚が細めのサイドボードが主流でした。
ローテーブル・ソファ・サイドボードは、ミッドセンチュリーインテリアの中心です。まずはこの3つから揃えると良いでしょう。
カーテン
インテリアコーディネートでついつい忘れがちなのがカーテンです。カーテンのデザインが部屋の雰囲気とマッチしていないと、統一感がなくなってしまいます。特に窓が大きい部屋は、カーテンのデザインがインテリアに大きな影響を与えます。
ナチュラルやモダン、スタイリッシュなどカーテンにもさまざまなデザインがあるため、小物や家具に合わせて選択すると良いでしょう。柄物を選ぶ場合は、レトロな配色のデザインだとミッドセンチュリーインテリアに統一感が生まれます。
壁の装飾
ミッドセンチュリーインテリアにおいて忘れてならないのが壁の装飾です。ダイヤ型や鳥の形をした壁がけ、個性的な時計などミッドセンチュリー期のウォールデコにはさまざまなものがあります。カラーや素材も豊富なので、お部屋の家具と合わせた装飾を選びましょう。
ミッドセンチュリー風の部屋にリノベーションするポイント
1990年代に大きな流行期を迎えたミッドセンチュリーインテリアですが、現代でもなお愛され続けています。おしゃれなカフェや美容室などでよく取り入れられており、ミッドセンチュリー家具を目にしたことがある方は多いでしょう。自宅をミッドセンチュリーテイストにするには、どのようにレイアウトすれば良いのでしょうか?ここでは、自宅をミッドセンチュリーテイストにリノベーションする際のコツをご紹介します。
①デザインのテイストや年代を統一する
リノベーションのコツ1つめは、デザインに統一性をもたせることです。一括りにミッドセンチュリーとはいえ、デザイナーによってデザインのテイストが異なります。
お部屋全体を明るく仕上げたい場合はカラフルなシェルチェアを中心に、テーブルは少しシンプルにして、あとは小物で色味を取り入れるのがおすすめです。
反対にモダンテイストが好みであれば、黒やカーキなどダークな色をベースにウッド調のテーブルや収納家具を置くと良いでしょう。暗すぎるのが嫌という方は、小物や観葉植物で明るさを取り入れるのがおすすめです。レトロ感のある小物であれば、ミッドセンチュリーな空間にマッチします。
②配色は色鮮やかにポイントとなるカラーを決める
リノベーションのコツ2つ目は、ポイントとなるカラーを決めることです。部屋の中心にポイントカラーの家具をひとつ置くだけで、よりミッドセンチュリーに近い雰囲気を演出できます。
取り入れやすい家具としておすすめなのがシェルチェアです。種類が豊富なので、部屋のテイストにあったカラーを選択できます。また形そのものがミッドセンチュリーを象徴しているので、置くだけで簡単におしゃれな空間が完成します。
その際はあまり多くの色を取り入れすぎないように注意しましょう。あくまでも「ポイント」となるカラーなので、たくさんの色味を加えるとごちゃごちゃしてしまいます。
③家具や小物にレトロフューチャーの要素を取り入れる
リノベーションのコツ3つ目は、小物や家具にレトロフューチャーの要素を取り入れることです。ミッドセンチュリーのインテリアには、個性的な形や模様をしたものがたくさんあります。
小物であれば派手な色やデザインにも挑戦しやすいでしょう。一点だけでも個性的なデザインを取り入れると、お部屋がぐっとおしゃれに見えます。
ミッドセンチュリーインテリアの実例
最後にミッドセンチュリーインテリアの実例をご紹介します。「こんなふうにしたい!」というお部屋があればぜひ参考にして、自分好みにリノベーションしてみてください。
個性的な形のソファ
全体的にポップで明るい印象のお部屋ですが、なかでも目を引くのが個性的な形をしたソファです。ビタミンカラーでまとめられた空間のなかに一点だけ置かれた少し暗めのブルーが、より一層ミッドセンチュリーな雰囲気を演出しています。
モダンなデザインの壁掛け時計
独特のフォルムをした時計はまさにミッドセンチュリーインテリアと言えます。太陽のような形をした時計のデザインは、ジョージネルソンによって生み出されました。時計にインパクトがあるため、壁紙や壁の装飾は最小限にするのがおすすめです。最近では貼って剥がせる壁紙も手軽に購入できるので、リノベーションの際に思い切って壁紙も変えてみてはいかがでしょうか。
イームズチェアーと照明の融合
ウッド調のテーブルと椅子のなかに一点だけ加えられた真っ赤なイームズチェアがおしゃれです。壁や床が白いのでより一層赤が美しく目立って見えます。テーブルに置かれたランプもレトロな雰囲気が漂い、イームズチェアに良くマッチしています。
ミッドセンチュリーを意識しておしゃれな空間を作ろう!
ミッドセンチュリーとは、20世紀半ばにアメリカで人気となったインテリアのことです。何十年も前に誕生したインテリアですが、今もなお多くの人々に愛されています。
ミッドセンチュリーの家具はお部屋に一つ加えるだけでおしゃれに仕上がるため、あまり費用をかけられないけれどお部屋をおしゃれにしたいという方にもおすすめです。家全体をミッドセンチュリーテイストに仕上げたい場合には、壁にボードを設置したり壁紙を変えたりして本格的にリノベーションしても良いでしょう。
人とは少し違ったモダンな空間を演出したい方は、ぜひミッドセンチュリーインテリアを取り入れてみてください。
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