修繕積立金の相場はいくら?適正の金額や値上げする理由を詳しく解説!

修繕積立金の相場はいくら?適正の金額や値上げする理由を詳しく解説!

「修繕積立金の相場はいくら?」「他のマンション修繕積立金が高い理由は?」

今住んでいるマンションやこれから購入を検討している建物の修繕積立金について、こうした疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。

この記事では、マンションの修繕積立金の相場について詳しく解説いたします。

さらに、マンションによって金額が異なる理由や修繕積立金・管理費のチェックポイントについても詳しく解説していますので、マンション購入を考える際にもぜひ参考にしてください。

この記事でわかること

  • 修繕積立金の相場は12,000円前後
  • 修繕積立金は築年数に応じて値上げしていく可能性がある
  • 修繕積立金の適正金額を求める計算式がある

記事の目次

  1. 1マンションの修繕積立金の相場ってどれくらい?
  2. 2マンションの修繕積立金を理解しよう!
  3. 2.1修繕積立金とは?
  4. 2.2管理費とは?
  5. 2.3マンションの修繕積立金と管理費が必要な理由
  6. 3マンションの修繕積立金の具体的な用途とは?
  7. 3.1大規模修繕
  8. 3.2共用部分の変更
  9. 3.3地震・台風など天災による被害の修繕費用
  10. 3.4受水槽の取り替え工事費用
  11. 3.5マンションの管理費の具体的な用途
  12. 4マンションの修繕積立金の相場
  13. 4.1実際の修繕積立金は適正な金額?
  14. 4.2修繕積立金の適正金額と相場
  15. 4.3マンションの修繕積立金の適正金額の目安とは?
  16. 5築年数・戸数・広さから見る修繕積立金の相場
  17. 5.1戸数でみる修繕積立金の相場目安
  18. 5.2築年数からみる修繕積立金の相場目安
  19. 5.3㎡当たりの修繕積立金の相場目安
  20. 6修繕積立金の注意点
  21. 6.1値上げする可能性が高い修繕積立金
  22. 6.2修繕積立金や管理費は返金されない
  23. 6.3滞納があると法的手段を取る可能性あり
  24. 7マンション購入を考える時のチェックポイント
  25. 7.1「相場より安い=良い」と判断しない
  26. 7.2値上げする可能性も考える
  27. 7.3修繕積立金や管理費も含めて返済計画をたてる
  28. 8修繕積立金の重要性を理解してマンション購入を検討しよう!

マンションの修繕積立金の相場ってどれくらい?

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はじめに、マンションの修繕積立金の相場は12,000円前後です。

この金額を見て高いと感じるか、思ったより安いなと感じるかは人それぞれでしょう。

マンションを購入すると住宅ローンに加え、毎月管理費と修繕積立金も支払うことになります。そのため購入前には総額の支払いを視野に入れて、シミュレーションしてみることも重要です。

この修繕積立金の相場がいくらくらいなのか気になったり、毎月のことなので安く抑えたいと考えたりすることもあります。安ければ月々の支払いに関して気楽な気分にもなりますが、現実的にはさまざまな注意点がありますので慎重に検討して下さい。

修繕積立金に関して具体的にどんなことに利用されるものなのか、相場金額や適正価格、値上げする場合の理由なども、マンションを購入する際の重要な一つの判断材料としてきとんと知識を深めていきましょう。

マンションの修繕積立金を理解しよう!

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ここではマンションの修繕積立金と管理費の使い道について見ていきましょう。

修繕積立金と管理費の関係

  • 修繕積立金はマンションの建物診断や大規模修繕などに使われる費用
  • 管理費はマンションの共用部分の維持、管理に関わる費用
  • 修繕積立金と管理費はマンションを長持ちさせ、快適な住環境を維持するため必要不可欠な費用

修繕積立金とは?

この項目ではそもそも修繕積立金とはどのようなものなのか、基本的な仕組みを詳しく確認していきましょう。

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修繕積立金はマンションの各戸所有者から毎月決められた金額を徴収し、特別管理やメンテナンスなどの必要経費に充てるために積み立てている、マンション維持には欠かせない費用です。

修繕積立金は、建物の診断や修繕工事を行うために充てられる費用になります。そのマンションを所有している人から毎月決まった金額を徴収し、将来的な大規模工事に備えて積み立てていくというものです。

大規模修繕などに必要な費用

主にマンションの建物診断や大規模修繕工事を目的に活用され、徴収される金額は管理組合で作成している長期修繕計画に基づき定められます。これはマンションに居住する戸数にもより変動が生じる金額です。

一般的に最近のマンションは、建物自体の耐用年数が100年程度という調査結果があります。しかしそれだけ実際に長く住める建物になるか否かは、メンテナンスによるところが大きく、引いてはそのマンションの資産価値にも大きく影響することになるのです。

また築年数を重ねていけばマンションの外壁などの建物自体のメンテナンス以外に、エレベーター、駐車場など機械設備などの定期修繕を実施する必要があります。このようなことから修繕積立金は、長くマンションに住み続けるために大変重要な資金といえます。

管理費とは?

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ここでは修繕積立金の他に毎月徴収される管理費についても確認しておきましょう。管理費は居住者が快適に生活するためにマンションの購入者で出し合い、日常的なマンションの維持管理に充てられる経費です。

設備等の維持管理費用

主にマンションの共有部分の水道光熱費や清掃、設備点検などに活用される費用です。その他管理人の人件費も管理費から捻出されます。

修繕積立金と管理費の区別がよくわからない方も多いようです。管理費は日常的なマンションの管理に活用される費用で、修繕積立金は長期的に計画した修繕に利用する費用と分けて考えるとわかりやすいでしょう。

マンションの修繕積立金と管理費が必要な理由

ここまで修繕積立金と管理費について内容を確認してきました。修繕積立金や管理費はマンションが長く居住できる建物として、なおかつ快適な住環境として維持管理するため必要不可欠な費用です。

そのためマンション購入金額には含まれず、マンションを所有している期間は毎月負担しなければならない費用となっています。

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マンションの修繕積立金の具体的な用途とは?

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この項目では修繕積立金の具体的な用途を確認していきましょう。

修繕積立金の具体的な用途

  • 大規模修繕
  • 地震・台風など天災による被害の修繕
  • 受水槽の取り替え工事など

さらに、以下ではそれぞれの工事について詳しく解説していきます。

大規模修繕

まず代表的な使用目的が建物の大規模修繕工事です。一般的に築年数12年から15年周期を目安に実施されることが多く、大変高額な費用になるため計画的に積み立てた資金が修繕工事に充てられるようになっています。

これは大規模修繕工事の度にマンションの所有者から一度に費用を徴収しようとするとかなり負担が大きくなり、支払えない所有者が出てしまう可能性があります。それによって修繕工事ができないような事態にならないよう、将来必要な工事費用として積み立てておく必要があるのです。

外壁補修

重要な塗装工事の一つに外壁塗装があります。これは外観を保つ目的はもちろんのこと塗装前にあらかじめ汚れなどを取り除き、外壁のコンクリートを汚れや雨風などから保護する役割もあるのです。

屋上防水

防水工事は主に外階段や屋上、バルコニーなど雨風にあたりやすい部分の床を中心に防水処理が実施されます。これは雨のあたりやすい部分からコンクリート内部に水分が侵入することを防ぐ効果があります。

特に屋上やバルコニーはメンテナンスを怠ると、室内に漏水するような事態にもつながりますので、定期的な点検も重要です。またバルコニーの防水工事には足場が必要になります。大規模修繕に行うことが経済的にもよいタイミングになります。

防水工事は建物の劣化を抑え、居住室内空間を守るために大変重要な施工の一つです。

配管補修

長くマンションに住むために大切な設備の一つが配管です。15年から20年の周期で点検もしくは交換が望ましく、大規模修繕の際に実施されることの多い工事となります。

バルコニーなどの鉄部塗装

大規模修繕で行われるもう一つ重要な塗装工事がこの鉄部塗装です。バルコニーや外階段の手すり、メーターボックスなどの鉄製扉の錆びやすい部分の再塗装が実施されます。まず錆びを取り除き、下処理を含め数回重ねて塗装を施すことで保護力が高まり、錆の再発も防ぐことができます。

共用廊下のシート貼り替え

その他大規模修繕工事では、共有廊下のシートの貼り替え工事なども実施されます。

共用部分の変更

大規模修繕工事では共用部分の設備変更なども行われる場合があります。現在は居住者の高齢化対応のためにバリアフリーの工事を検討するマンションも増えています。
その場合、玄関扉を自動ドアに変更したり、エントランスホールの改装などが項目に加わるケースもあるのです。

その他エレベーターの改修工事ではカゴ内のリニューアル、制御盤やボタン交換も実施される可能性があります。

地震・台風など天災による被害の修繕費用

修繕積立金はその他の具体的な用途として、地震や台風など天災による被害の修繕費用にも使われます。災害で被害にあった場合の突発的な修繕工事費用にも、毎月積み立てている修繕積立金が役立ちます。

受水槽の取り替え工事費用

マンションによっては受水槽が設置されている場合があります。この受水槽の仕組みは水道管から届いた水を一旦貯めてマンション内に水を供給するというものです。

その水は増圧ポンプを利用するか、高架水槽を設置して重力で各階に水が届くようになります。その受水槽は素材によって寿命に差があります。

受水槽の材質 耐用年数
FRP製(強化プラスチック) 15~25年
鉄筋コンクリート製(地下式) 30~50年
機種や材質の違いでの違いはありますが、こまめな点検と清掃などのメンテナンスを実施することで、寿命が1.5倍から2倍伸びるという調査結果が出ています。この受水槽の取り替え工事費用も修繕積立金が使われます。

しかし最近では水道管の整備状況の改善により、受水槽を利用しない「直結給水型」を推奨している自治体も多くなっています。受水槽型から直結給水型に切り替えるという場合にも修繕積立金が使用される可能性もあります。主に受水槽の撤去工事、建物によっては増圧吸水ポンプの設置が必要といわれています。

マンションの管理費の具体的な用途

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続いてここではマンションの管理費の具体的な用途に関しても、確認していきましょう。

管理費の具体的な用途

  • 共用部分の水道光熱費
  • 管理会社への委託費用
  • エレベーターや消防設備等の点検

共用部分の水道光熱費

マンションの共用部分で利用している水道光熱費に使われます。エントランスや共用廊下の照明、エレベーターその他給水ポンプの利用、留守番ボックスにも電気料がかかります。マンションの清掃に水が使われるための水道料金も管理費で賄うことになっています。

その他管理人室に設置されている電話やFAX、機械警備用の回線使用料、郵便料金などの通信費も管理費で賄われます。

管理会社への委託費用

マンションの管理は管理会社に委託されることが一般的です。

委託内容は管理組合ごとに異なりますが、管理業務を管理会社に委託した料金を管理費から支払います。管理委託契約書などで管理委託料や委託業務を確認することができます。

以下がマンションの主な管理業務内容です。

1 管理員業務
2 清掃管理業務
3 事務管理業務
4 設備管理業務

エレベーターや消防設備等の点検費用

定期的に実施されるエレベーターの点検や消防設備点検、建物設備定期点検などの法定点検の費用を管理費で賄われます。

マンションの修繕積立金の相場

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ここまで修繕積立金に関する基礎知識や具体的な用途に関して確認してきました。この項目ではマンションの修繕積立金の相場額や実際の適正価格などを検証していきましょう。

マンションの修繕積立金の相場

  • 修繕積立金の相場は12,000円前後
  • 専用の数式に当てはめることで部屋ごとの修繕積立金の適正額を計算できる
  • マンションが設定している修繕積立金が適切かどうかを確認できる

実際の修繕積立金は適正な金額?

購入を検討しているマンションで提示されている修繕積立金が果たして適正価格なのか、またすでにマンションを購入している場合毎月支払っている修繕積立金が適正なのか、今後のマンションでの生活において大変重要な問題です。

適切な費用かどうかは、これからご紹介する相場感と、具体的な計算式から確認することができます。気になる方はぜひチェックしてみてください。

修繕積立金の適正金額と相場

修繕積立金の相場金額は国土交通省が公表している「平成30年度マンション総調査」の結果で知ることができます。
この調査結果でわかるように建物の築年数やマンションの総戸数でも相場金額に相違が生じているのです。

また修繕積立金の適正額は「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」に専有床面積当たりの修繕積立金の平均額が記載されています。

地上階数/建築延床面積 平均値 事例の 3分の 2 が包含される幅
20階未満 5,000 ㎡未満 335 円/㎡・月
235 円~430 円/㎡・月
5,000㎡以上~10,000㎡未満 252 円/㎡・月 170 円~320 円/㎡・月
10,000 ㎡以上~ 20,000 ㎡未満 271 円/㎡・月 190円~330 円/㎡・月
20,000 ㎡以上 255 円/㎡・月 190円~325 円/㎡・月
20階以上 338 円/㎡・月 240 円~410 円/㎡・月

長期修繕計画について

長期修繕計画は25年から30年程度の長期的なマンション共用部分の修繕内容や修繕箇所が定められたものです。一般的には分譲時にマンションデベロッパーの経験値により修繕周期や金額を算出し作成していることが多く、これを基に当初の修繕積立金の金額が決められます。

一例を挙げると12年後に大規模修繕で5千万円必要な計画だとすれば、それまで修繕積立金を5千万円にすることが必要です。こういったことから毎月支払う修繕積立金の金額が算出されます。

マンションの修繕積立金の適正金額の目安とは?

マンションの修繕積立金の適正金額の目安は、令和3年9月に改訂された国土交通省が公表している「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」において、マンションの階層や所有する延床面積などに応じて算出する方法が記載されています。

計算式

修繕積立金の適正額の求め方

  • 計算式はY=AX+Bで求められる
  • Y=修繕積立金額の目安
  • A=専有床面積あたりの修繕積立金額
  • X=専有床面積
  • B=機械式駐車場がある場合の加算額

マンションに機械式駐車場がある場合、駐車場の修繕工事にも多額の費用が必要になります。

そのため特別要因として別途修理費を加算する必要があります。ただし駐車場代として使用料の収入がある場合には以下の金額を加算する必要がありません。
1 台あたり月額の修繕工事費(B)

機械式駐車場の機種 機械式駐車場の修繕工事費
(1台当たり月額)
2段(ピット1段)昇降式 6,450 円
3段(ピット2段)昇降式 5,840 円
3段(ピット1段)昇降横行式 7,210 円
4段(ピット2段)昇降横行式 6,235 円
エレベーター方式(垂直循環方式) 4,645 円
その他 5,235 円

修繕積立金の適正額の目安は「Y=AX+B」という計算式で求めることができます。

この計算式はあくまでも適正価格の目安のため、計算式に当てはめた金額と実際の修繕積立金が一致しているからと言って必ずしも潤沢な資金であるとは限りませんのでご注意ください。
Y 修繕積立金額の目安
A 専有床面積あたりの修繕積立金額
X 専有床面積
B 機械式駐車場がある場合の加算額

修繕積立金の適正金額の目安

例えば12階建てのマンションで延床面積8,000㎡のうち80㎡の所有であれば、Aが252円、Xが80㎡です。修繕積立金の適正金額の目安は以下のように算出できます。(駐車場の加算はないものとして)
80㎡×252円/㎡/ 月=Y/ 16,160円

なお同条件の80㎡の部屋を所有している場合では13,600円/㎡/ 月(170円)~26,000円/㎡/ 月(325円)の幅があります。

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築年数・戸数・広さから見る修繕積立金の相場

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続いてこの項目では築年数や戸数、所有面積の広さから見る修繕積立金の相場額を確認していきましょう。

築年数や戸数、所有面積の広さから見る修繕積立金の相場

  • 戸数に関わらず修繕積立金の相場は12,000円前後
  • 2015年以降に建てられた新築の修繕積立金の相場は6,928円
  • ㎡当たりの修繕積立金の相場目安は179円

戸数でみる修繕積立金の相場目安

マンションの総戸数 修繕積立金平均額
(1戸当たり/ 1ヶ月分)
31〜50戸 12,952円
51〜75戸 10,581円
76〜100戸 11,535円
101〜150戸 10,775円
151〜200戸 12,698円
201〜300戸 12,883円
301〜500戸 14,496円
501戸以上 13,719円

相場は12,000円前後

マンションの総戸数で算出された修繕積立金の平均額でもわかるように、多くのマンションの修繕積立金の相場は1万2千円前後ということになります。しかし規模の違いによっても金額に少々差があることがわかりました。

小規模なマンションの場合、修繕積立金を負担する戸数が、もともと少ないことから負担額が大きくなる傾向です。また大規模なマンションも修繕積立金が高く設定されています。

大規模マンションでは高額になる

大規模マンションの場合、共用部分も広く、設備も充実している建物が多いことから修繕積立金の金額が高めになる傾向があります。

特にタワーマンションは建物の構造上においても修繕費用が高いことから、修繕積立金が高く設定されているのが一般的です。

築年数からみる修繕積立金の相場目安

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ここではマンションの築年数ごとの修繕積立金の相場額の目安を見てみましょう。

マンションごとに金額が違う

国土交通省の調査結果によりますと、平成30年度時点でマンション1戸当たりの修繕積立金の平均は約1万2千円です。
どのマンションでもその金額が当てはまるというわけではなく、マンションの築年数により修繕積立金の相場額に違いがあることが以下の調査結果によってわかります。
 

完成年次 修繕積立金平均額
(1戸あたり/ 1か月分)
〜平成元年(1989年) 12,154円
〜平成6年(1994年) 12,760円
〜平成11年(1999年) 13,447円
〜平成16年(2004年) 12,649円
〜平成21年(2009年) 12,386円
〜平成26年(2014年) 9,846円
平成27年(2015年)以降 6,928円
全体平均 12,268円
参考:国土交通省:平成30年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状/ 管理組合向け調査の結果

値上げする場合もある

建物の築年数が増すごとに実際の修繕費用がわかってくることなども要因となり、修繕積立金が高く推移していきます。

こういった要因からも修繕積立金の徴収方式は、段階増額積立方式が採用されることが多く、築年数を増すごとに値上げされることがほとんどです。月々の支払い金額も、値上げを視野に入れてシミュレーションする必要があります。

㎡当たりの修繕積立金の相場目安

完成年次 ㎡当たり修繕積立金の相場
〜平成元年(1989年) 182円
〜平成6年(1994年) 257円
〜平成11年(1999年) 191円
〜平成16年(2004年) 153円
〜平成21年(2009年) 150円
〜平成26年(2014年) 126円
平成27年(2015年)以降 93円
全体平均 179円

基本的に築年数が新しいほど安い

最近はマンションの販売会社などが、新築マンションを売りやすくするために当初の修繕積立金や管理費を低く設定している傾向があります。

しかし先述の通り、段階増額積立方式などで数年後には修繕積立金が値上がりすることを念頭において資金計画をたててください。

修繕積立金の注意点

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この項目では修繕積立金の注意点を確認していきましょう。

修繕積立金の注意点

  • 修繕積立金は築年数に応じて値上げする可能性が高い
  • 工事見積もりなどによりいきなり値上げする可能性がある
  • 修繕積立金や管理費は返金されない
  • 仮に滞納した場合、法的手段を取られる可能性がある

値上げする可能性が高い修繕積立金

まず1点目の注意点として修繕積立金は、値上げされる可能性が高い費用だということです。

積立金の金額が新築当初のまま据え置きになると考えてしまうと、毎月の資金繰りが苦しくなってしまいます。必ず値上げされることも踏まえた資金計画を立てるようにしてください。

修繕積立金は毎年同じ金額ではない?

修繕積立金は毎年同じ金額かというとそう断言できません。

大規模修繕工事は約10年から15年周期で実施されるケースが多いのですが、工事前の見積もりを取った時点で次回の大規模修繕の計画の見直しをするという傾向があります。

これは将来的に資材や人件費の高騰など物価上昇する影響などを考慮すると、購入当初の修繕費用の見積もりでは将来的に修繕積立金が不足する可能性が出てきてしまうことからです。

一般的に見ても築年数が長くなるごとに修繕積立金が高くなる傾向にあります。
そのため修繕積立金は一定ではないと考えた方がよいでしょう。

修繕積立金の不足は社会問題化

新築マンションの分譲時に販売しやすいよう、当初の修繕積立金が低めに設定されている傾向が見られます。そのためそのままの金額で修繕積立金を積み立てしていると、2回目から3回目の大規模修繕の時点で修繕積立金が不足する事態になってしまうのです。

この問題はごく一部のマンションの話ではなく、多くのマンションが抱える社会問題にもなっています。

修繕積立金や管理費は返金されない

Photo by652234

続いて注意点の2点目は、修繕積立金や管理費は返金されることはないということです。管理規約にも返金されないという内容が記載されています。もし個別に返金することになれば、管理組合の運営も不安定で難しいものになってしまいます。

マンションを売却する際などに、修繕積立金や管理費は返金されないものと心に留めておいてください。

新しい区分所有者に引き継がれる

マンションを売却した際にこれまで積み立ててきた修繕積立金は、新しい区分所有者に引き継がれることになります。

例えばマンション売却後すぐに大規模修繕工事があった場合、新しい所有者がまとまった修繕金を支払うということにはならず、前所有者が支払ってきた修繕積立金が使われ工事が行われます。

大規模修繕工事がまだ先だとしても、居住期間相当の修繕費を負担するべきものだと認識しておく必要があるでしょう。

滞納があると法的手段を取る可能性あり

修繕積立金の注意点3点目は、滞納があると法的手段を取られてしまう可能性があるということです。

まず修繕積立金や管理費を滞納すると管理会社を通じて督促があります。
引き続き滞納したままの場合、簡易裁判所にて少額起訴を起こされたり、滞納期間が長く金額が大きい場合であれば通常の起訴を起こされるという事態も起こりえます。

また中古マンションを売却する際、売主は修繕積立金や管理費を滞納しているかどうか、滞納している場合はその金額の説明義務があります。
購入希望者は、売主が滞納分を精算することを条件に契約する必要があります。
トラブルを防ぐためにも事前に必ず滞納の有無を明確にすることが重要です。

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マンション購入を考える時のチェックポイント

ここまで修繕積立金に関する知識を深めてきました。この項目ではマンションの購入を考える時に、修繕積立金や管理費のチェックすべきポイントはどのようなことなのか、改めて検証していきましょう。

マンション購入を考える時のチェックポイント

  • 修繕積立金が相場より安いから良いと安易に判断しない
  • 将来の値上げの可能性を考えておく
  • 修繕積立金や管理費も含めて返済計画をたてる

「相場より安い=良い」と判断しない

マンションを購入したいと考える方にとって、毎月の経費が抑えられれば嬉しいと考える方もいらっしゃるでしょう。しかし自分が購入しようとするマンションの修繕積立金が「相場より安い」からといって、それがよいこととは限りません。

マンションの修繕に必要な費用が不足してしまうと、所有者が一時金を支払うことになるか、もしくは修繕を見送ることで建物の耐用年数や資産価値にも影響が生じることになってしまいます。

修繕積立金の金額が相場より安い場合、安易に良い物件と判断せず再度検討してみてください。

値上げする可能性も考える

修繕積立金は一定であると考えず、値上げされる可能性もあると認識しておく必要があります。最近では資材や人件費の高騰による工事価格の値上げも顕著となっています。

また新築入居時の修繕積立金が低めに設定されていると、将来的に修繕に必要な費用が不足する事態になります。建物を修繕せず先延ばしすると、劣化を早めてしまいます。そのため修繕積立金の金額を見直し値上げする可能性が高くなるのです。

修繕積立金や管理費も含めて返済計画をたてる

マンションの購入を検討しているときは、ついつい物件価格と住宅ローンの金額ばかりに目が行ってしまいます。
しかし修繕積立金と管理費も住み続ける限り毎月支払い続ける費用です。

新築物件で安く設定されているときの金額だけでなく、後々値上げされた際に支払いが厳しくならないようローンの返済計画を立てることが必要です。

修繕積立金の目安になる金額と実際に支払っている金額の差額分を貯金しておくことができれば、値上げされたときにも対処しやすくなります。

修繕積立金の重要性を理解してマンション購入を検討しよう!

今回はマンションの修繕積立金や管理費の重要性をお伝えしてきました。具体的な用途や将来的なマンションの老朽化への対応のために、適正価格を知ることも大切です。

この記事のまとめ

  • 修繕積立金の相場は12,000円前後
  • 修繕積立金は築年数に応じて値上げしていく可能性がある
  • 修繕積立金の適正金額を求める計算式がある

金額だけを見て月々の支払いの負担が少ない方が楽だと考えてしまうと、将来、修繕積立金が不足したり値上げした際に支払いに困る事態になりかねません。

修繕積立金をチェックする際は、十分な積立金額を確保できるのか、将来の値上げはあるか、を考慮したうえで値上げを想定した資金計画を立てることが重要です。

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